「RCI」と普通に調べれば、「RCIとは相場の過熱感を測るものであり、100%付近は買われ過ぎ、-100%付近は売られ過ぎを意味する」と出て来ると思います。また設定値は9が一般的だと。
ですがこれ以降、具体的な使い方に関してはいくつかバリュエーションがあり、何が適切なのかがいまいち釈然としない印象です。
買われ過ぎになったときに逆張りで売るべきなのか、プラス圏に突入した(RCIが負から正になった)タイミングで売るべきなのか、あるいはRCIを2本引くべきなのかなど、どれがいいのかよくわかりません。下手をすれば、どれも勝てない手法である可能性もあります。
そこで本記事ではこのような疑問を解消すべく、RCIを色々な使い方で試してみて、バックテストでそれぞれのパフォーマンスを検証していきたいと思います。
RCIをこれから使おうか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみにRCIとRSIどちらが優秀なのかは、以下の記事をご参照ください。
検証対象
ざっと調べたところ、RCIの使い方として以下の4つがヒットしました。今回はこれらを検証対象にバックテストを行いたいと思います。
使い方1:買われ過ぎ・売られ過ぎ閾値突入でのエントリー
RCIが80%を超えたタイミングで売りのエントリー、また反対にRCIが-80%を超えたタイミングで買いのエントリーをします。
私が調べたところ、これが一番多くヒットしました。おそらくRCIの最も基本的な使い方と思います。
手仕舞いに関しては特に記載ない場合が多かったですが、今回は上記のエントリーに基づくドテンを繰り返すトレードを採用することにします。
例えば、RCIが-80%を超えたら、既にある売りポジションを決済し、買いでエントリーをします。次に80%を超えたとき、先ほどの買いのポジションを決済し、売りでエントリーします。これを繰り返します。
使い方2:買われ過ぎ・売られ過ぎ閾値脱出でのエントリー
RCIが80%を超えたときは買いのポジションを決済するのみで、RCIが80%以上から80%未満になったとき(買われ過ぎ閾値を脱出したとき)に売りエントリーを行います。勿論-80%の場合はこの逆です。
下図のようなイメージでしょうか。
エントリーが遅くなる分、気持ち使い方1より慎重なエントリーになると考えられます。といってもバックテストの結果がないと、これでダマしが回避しやすいのかなんともわかりませんが。
下図のように、RCIは上下動が激しく、80%以上や-80%以下で推移する期間が短いため、使い方1と同じような結果になることが予想されます。
使い方3:プラス圏・マイナス圏突入でのエントリー
RCIが負の値から正の値になったときに買いエントリーし、正から負になったときに売りエントリーします。つまり0跨ぎでエントリーするということです。
調べればこの使い方は結構出て来ます。買われ過ぎ・売られ過ぎがどう機能しているのか私にはわかりませんでしたが、もしこれで高いパフォーマンスをはじき出すのであれば利用価値は十分あると思われます。
こちらも使い方1と同様に、エントリーと同時に逆向きのポジションがあればそれを決済するドテンの繰り返しを手仕舞いとして採用します。
使い方4:ゴールデンクロス買い・デッドクロス売り
RCIを2本引き、パラメータをそれぞれ9と26に設定します。これら2本線のゴールデンクロスで買いエントリーし、デッドクロスで売りエントリーをする使い方です。
こちらもどういう理屈か私にはイマイチわかりませんが、移動平均線やMACDと同様の考え方で提案されたものと思います(といっても、ゴールデンクロスの場合売られ過ぎの勢いが鈍化したことを意味するため、むしろ買いのタイミングではない気がしますが)。
以上が検証対象です。尚、今回検証では時間足として15分足、1時間足、4時間足を対象とします。それぞれ前から、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードを意識したものになります。
検証結果
それでは実際に結果を見てみたいと思います。既に説明したものも含め、バックテストは以下の条件にて行いました。
通貨ペア | USD/JPY |
スプレッド | 0.3pips(0.3銭) |
検証期間 | 2013/1/1 ~ 2021/12/31 |
ポジション | 0.1Lot(10000通貨) |
資産 | 100万円 |
RCI期間 | 9(二本目は26) |
買われ過ぎ閾値 | 80% |
売られ過ぎ閾値 | -80% |
下表が検証結果です。括弧の左の数字はプロフィットファクタです。そのため1より大きければ期待値はプラスで、1未満であれば期待値はマイナスです。括弧の中の数字は取引回数です。個人的には1000回に満たない結果は信用しない方がいいと考えてます。
15分足 | 1時間足 | 4時間足 | |
使い方1 | 0.98(10713) | 0.98(2413) | 0.94(603) |
使い方2 | 0.97(10706) | 0.93(2412) | 1.05(603) |
使い方3 | 0.93(27960) | 1.04(6682) | 1.08(1653) |
使い方4 | 0.99(20473) | 0.98(5657) | 1.04(1452) |
赤字はプロフィットファクタが1を超えて、なおかつ取引回数が1000回以上のものです。15分足はどの使い方でもプロフィットファクタは1未満です。そのため、スキャルピングとRCIは相性が悪いということかも知れません。比較的長い時間足の方が結果が良い傾向があり、特に使い方3が良さそうです。
使い方3はRCIが0を跨いだ時にエントリー・手仕舞いを行うものなので、「もはやRCIの意味とは?」と思ってしまいますが、兎にも角にもこれが結果です。
以下では結果の良かった赤字箇所の詳細結果を見ていきたいと思います。
下図は「1時間足・使い方3」の結果です。ちょうど真ん中あたりまでは勝ちが続きますが、それ以降下がっていく感じでしょうか。これ以降どうなるか不明ですが、4年も負け続けていることを考えると、私は使う気にはなれません。
下図は「4時間足・使い方3」の結果です。比較的安定して上昇していきますが、それでもところどころガタガタしています。これでも今回検証の中では最も結果が良かったものです。
他の記事ではもっと良い結果が得られているため、これが最高パフォーマンスならわざわざRCI使う必要はないかなと個人的には思いました。
下図は「4時間足・使い方4」の結果です。最初かなり調子よく資産が増えていきますが、中盤からマイナスに転じ、最後なんとかプラスに持って行った感じです。
資産曲線が安定せず、使うには勇気が要ると思います。
まとめ
本記事では、RCIの最適な使い方をバックテストで検証しました。得られた結論は以下となります。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。