パラボリックで勝てるのか?その有効性をバックテストにより徹底検証

「そもそもパラボリックの勝率ってどんなもの?」
「調べたらトレンド相場の時に使うべきって出て来るけど、具体的にどうすればいいの?」

今回はこういった疑問にお答えしたいと思います。

MACDやストキャスティクスと比較して知名度が低い分、調べてもあまり情報が出てこないのではないでしょうか。特にバックテストなどの検証結果はネット上にもほとんど落ちてないのが実態と思います。

本記事では、パラボリック単独利用時のそもそもの勝率と、他のインジケータと組み合わせてトレンド相場の時に限定して使った場合の勝率をバックテストでそれぞれ検証し、その有効性と適切な使い方を示したいと思います。

パラボリックを使ってはいるものの、イマイチいい結果が出ていないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • パラボリック単独利用トレードの勝率
  • トレンド相場に限定した場合のパラボリックの勝率

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パラボリックの使い方

まず、本記事で取り上げるパラボリックの使い方を定義したいと思います。定義した使い方に関してバックテストを行い、その結果を見て実践で使うべきか否かを確認するという方針です。

パラボリックに関する基本的なことは、以下のリンクを参考にさせていただきました。

パラボリックとは?使い方やデメリットをわかりやすく解説|FXブロードネット
パラボリックとは「放物線上の」という意味で、売買転換点を示すトレンドフォロー型の指標です。パラボリックがより有効なシチュエーションも解説しています。

使い方に関して、大事だと思った箇所を以下に抜粋します。

描かれた放物線(SAR)と実際の価格の交差するポイントが売買転換点を示し、途転(買い方なら買いを手仕舞い、売りを入れる手法)を繰り返して行うのがパラボリックの狙いです。

(中略)

パラボリックは、価格が長期間にわたって一方向に動く場合に有効なものと言えますが、レンジ相場になって短期間に価格が上下する状態になると、だましが多くなってしまいます。

そこでパラボリックを考案したJ.W.ワイルダー氏は、DMIのADXを併用しトレンドが確認出来る局面でパラボリックを利用するのがより有効であると述べています。

「パラボリック | テクニカルチャート講座」『FXブロードネット』

これを一つずつ見ていきたいと思います。

検証1:パラボリック単独利用のドテントレード

まず引用前半の記載にあるように、SARとチャートが交差するタイミングでドテンを繰り返すトレードを取り上げます。これに対してバックテストを行うことで、パラボリックの基本性能を確かめることが可能になります。

おそらく実際のトレードにおいて、パラボリックを単独で利用したり、問答無用で常にドテンしたりすることはないと思います。しかし、このような愚直なトレードでのバックテストを介して、インジケータそのものの性能を確かめておくのは非常に重要です。これによって改良の方向性を検討することが可能になるからです。

検証2:トレンド相場時限定のトレード

上記引用の後半に記載あるように、トレンド相場の時のみエントリーするトレードでの検証をしてみたいと思います。トレンド相場か否かを判断する方法はそれこそ無数にあると思いますが、今回は以下に挙げる2つの方法を採用します。

検証2-1:ADXによるトレンド判断

引用にもあるように、パラボリック生みの親であるJ.W.ワイルダー氏推奨のADXを併用したトレンド判断です。ADXとはトレンドの強さを表すインジケータで、ADXが25(場合によっては30)以上だと強いトレンドと判断されます。つまりADXが25未満のときはトレンド相場でないため、エントリーを控えればいいということになります。

下図が一例です。相場が上にも下にも振り切れないレンジ相場なわけですが、検証1のようなドテントレードをするとなれば、黄色の丸で買い、緑の丸で売ることを繰り返すことになります。概ね、黄色の丸よりも緑の丸の方が下にあるため、これでは損を重ねてしまいます。

ここにADXを表示させたものが下図になります。飛び出ている部分も少しありますが、概ねADXが25未満の水準で推移しているため、この期間でのエントリーは避けられることになります。

ちなみにこの検証では、レンジ相場でのエントリーを避けることが狙いであるため、ADXが25以下でも手仕舞いは行います。

検証2-2:移動平均線によるトレンド判断

ADXとは別のトレンド判断の方法として、移動平均線を使った方法も見てみたいと思います。具体的には、これは買いの場合ですが、検証1の条件に対して、SARが移動平均線の上にあることも条件に加えます。勿論、売りの場合はその逆です。

下図がその例です(検証2-1と同じ)。白い線が移動平均線ですが、レンジ相場では買いのタイミングでSARが移動平均線の下にあり、売りのタイミングではSARが移動平均線の上にあることがわかります。つまり上述の条件を追加した場合、エントリーは見送られます。

一方下図はトレンド相場の場合で、買いのタイミングでもSARが移動平均線の上にあることがわかります。こういった場合のみ買いエントリーを行います。

ここでも検証2-1同様に、レンジ相場でのエントリーを避けることにのみ移動平均線を使用し、手仕舞い自体は相場状況に関わらず行います。

以上がパラボリックの使い方の説明となります。

検証結果

それでは実際に結果を見てみたいと思います。バックテストは以下の条件にて行いました。

通貨ペアUSD/JPY
スプレッド0.3pips(0.3銭)
検証期間2013/1/1 ~ 2021/12/31
ポジション0.1Lot(10000通貨)
資産100万円
加速因子ステップ0.02
加速因子最大値0.2
ADX閾値25
ADX期間14
移動平均線期間60

以下が結果です。各数字はプロフィットファクタを示します。そのため、1未満であれば取引をすればするほど損をし、1より大きければ取引をすればするほど得をすることになります。括弧の中の数字は取引回数です。

 15分足1時間足4時間足
検証10.95(17078)1.05(4418)1.09(1198)
検証2-10.86(9410)0.99(2531)1.03(734)
検証2-20.97(3229)0.99(893)1.10(255)

まず検証1ですが、15分足を除けばプロフィットファクタが1より大きいことがわかります。つまりパラボリックの基本性能は、15分足などでのスキャルピングをしなければ、期待値がプラスであるような悪くないものだと言うことが出来るかと思います。

一方、検証2-1はどの時間足でも検証1よりパフォーマンスが落ちています。おそらくADXだけですと、上昇トレンドなのか下落トレンドなのかわからないため、上昇トレンドの最中に売りエントリーしたり、下落トレンドの最中の買いエントリーしたりすることが頻繁に起こり、これが悪さしているのが原因かと思います。

勿論、下落トレンド中の買いエントリーやその逆の中には、トレンドの転換を捉えた大勝ちトレードに繋がったものもあるでしょうが、それを含めても長期的には負け越していることを考えると、トレンドの方向に抗う方向のエントリーは避けた方がいいかも知れません。

検証2-2はそういったエントリーが極力排除されるロジックであり、結果は概ね検証1より良くなっています。つまり、パラボリックはトレンドの方向に沿う方向のエントリーに向いているということかと思います。

まとめ

本記事では、パラボリックそのものの勝率とトレンド相場に限定してエントリーした場合の勝率をバックテストにより検証しました。以下に結論となる重要なポイントを示します。

結論
  • 15分足でのスキャルピングには向いてない
  • 逆に4時間足でのスイングトレードに向いていて、パラボリックのみの使用でも期待値はプラスに出来る
  • トレンドに抗う方向のエントリーで一発逆転を狙っても、長期的にみると負け越す可能性が高い
  • トレンドに沿う方向のエントリーに限定すると、パフォーマンスは改善できる

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。