ボリンジャーバンドと似たようなインジケータにケルトナーチャネルというものがあります。
私は最近までその存在すら知りませんでした。メジャーな方法ではないのだろうとは思いますが、かといってダメな手法だと結論が出たわけでもなく、そのパフォーマンスをバックテストで検証してみる価値はありそうです。
今回はケルトナーチャネルがインジケータとして使えるものなのかどうか、ボリンジャーバンドと比較してどっちが良さそうかをバックテストにより検証してみたいと思います。
これからケルトナーチャネルを使ってトレードしようか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
基本のおさらい
ケルトナーチャネルの計算式に関しては、以下のサイトを参考にさせていただきました。
ボリンジャーバンドのように3本線を引くインジケータで、中間線は指数移動平均線を使用し、中間線±乗数×ATRにアッパーバンドとローワーバンドを引くとのことです。
指数移動平均線やらATRやらで実際に計算するとややこしくなりそうですが、実際はトレードツールに標準搭載されていることが多く、パラメータを設定するだけで使えるものでもあると思います。
またケルトナーチャネルの使い方に関しては、以下を参考にしています。
定義部分のみ抜粋しますと、以下となります。
値動きがケルトナーチャネルの上下のラインを飛び出した方向に、強いトレンドがあると判断します。
「ケルトナーチャネル|テクニカル分析」『FXブロードネット』
つまり、上に抜ければ上昇トレンドが強く、下に抜けば下落トレンドが強いということかと思います。
ボリンジャーバンドのバンドウォークに近い考え方です。
そうすると、バンドウォークを用いるのがいいのか、ケルトナーチャネルを用いるのがいいのか、どちらがいいのかという観点が気になるところです。
どちらも騙しが発生する可能性はあり、定性的な説明にあまり意味はないでしょう。これを確かめるにはトレンドフォロー取引を行うバックテストを介して、どちらの収益(プロフィットファクター)が大きくなるのかを比較する必要がありそうです。
バックテストの条件設定は次章で定義したいと思います。
問題設定
あまり議論の余地はないかも知れませんが、本章でパラメータの設定の仕方とエントリーおよび手仕舞いのタイミングを定義します。
パラメータ設定に関して
ケルトナーチャネルには指数移動平均線期間、乗数、ATR期間の3つのパラメータを設定する必要があります。
今回、ケルトナーチャネルそのもののベースとなるパフォーマンスが知りたいため、一般的に使われるパラメータを採用したいと思います。
何をもって一般的とするかは非常に難しい問題ですが、ケルトナーチャネルについて解説しているサイトをざっと確認した限り、以下の値が多くの場合デフォルトとして使われると判断しました。
- 指数移動平均線期間:20
- 乗数:2
- ATR期間:14
またボリンジャーバンド期間ですが、これも同様の考え方で、以下の設定値を用います。
- ボリンジャーバンド期間:20
エントリーに関して
前章で記載した通り、アッパーバンドを抜ければ買いエントリー、ローワーバンドを抜ければ売りエントリーとします。
ただし、チャタリングによる複数入札を防ぐため、同時に保有するポジションは1つのみに限定します。
ケルトナーチャネルの場合、アッパーバンド/ローワーバンドはそれぞれ1つだけですが、ボリンジャーバンドは±1σ〜±3σまで3本あります。
どれと比較して優位かも検証して確かめたいため、それぞれでバックテストをして比較してみたいと思います。
手仕舞いに関して
今回の検証では、エントリー後に中間線にタッチしたら手仕舞いとします。
そのため買いが連続で入ったり、売りが連続で入ったりする可能性もあるということです。裁量トレードをする場合でも違和感ない考え方かと思います。
検証結果
それでは実際に結果を見てみたいと思います。バックテストは以下の条件にて行いました。
通貨ペア | USD/JPY |
スプレッド | 0.3pips(0.3銭) |
検証期間 | 2013/1/1 ~ 2023/12/31 |
ポジション | 0.1Lot(10000通貨) |
資産 | 100万円 |
指数移動平均線期間 | 20 |
乗数 | 2 |
ATR期間 | 14 |
ボリンジャーバンド期間 | 20 |
時間足は15分足、1時間足、4時間足を対象とします。それぞれ前から、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードを意識したものになります。
15分足
括弧の左の数字はプロフィットファクタです。そのため1より大きければ期待値はプラスで、1未満であれば期待値はマイナスです。括弧の中の数字は取引回数です。
ボリンジャーバンド | ケルトナーチャネル | |
±1σ | 1.01(40336) | 1.01(11048) |
±2σ | 1.09(16968) | |
±3σ | 1.09(5362) |
プロフィットファクタはどれも1以上ですが、ボリンジャーバンドの幅によらず、ケルトナーチャネルはプロフィットファクタが落ちます。
スキャルピングのような短い時間足ではケルトナーチャネルは使わない方がいいのかも知れません。後述する1時間足や4時間足と比較してもプロフィットファクタは小さく、ボリンジャーバンドとケルトナーチャネルともに長い時間足で使われることが推奨されます。
1時間足
表の見方は15分足と同じです。
ボリンジャーバンド | ケルトナーチャネル | |
±1σ | 1.17(9398) | 1.25(2689) |
±2σ | 1.23(4218) | |
±3σ | 1.38(1320) |
ボリンジャーバンドは幅を大きくすればプロフィットファクタは改善しますし、±3σを用いない限りはケルトナーチャネルを使った方がいいという結果になりました。
またプロフィットファクタ1.25はかなり高い値です。以下にバックテストの詳細結果を記載します。比較的安定的に資産が増えていると思いますが、いかがでしょうか。
4時間足
表の見方は15分足と同様です。
ボリンジャーバンド | ケルトナーチャネル | |
±1σ | 1.27(2078) | 1.16(680) |
±2σ | 1.26(960) | |
±3σ | 1.12(248) |
こちらは逆に、ボリンジャーバンドの幅を小さくすればプロフィットファクタは改善され、±3σでない限りはボリンジャーバンドを使った方が良さそうです。また総合的に1時間足より結果は落ちます。
一応、バックテストの詳細結果を以下に掲載します。資産曲線の上下のブレは1時間足より大きくなる印象です。
まとめ
本記事では、ケルトナーチャネルで勝てるのかをバックテストを用いて検証しました。
以下に結論となる重要なポイントを示します。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。