レジサポラインは機能するのか?バックテストで有効性を検証してみました。

ドル円で取引している時、150円や100円などキリのいい数字で指値や逆指値を入れたくなるのが心情かと思います。

やはり人間キリのいい数字に引きずられるといいますか、どうしても意識してしまうのか知れません。

大衆心理が仮にそうなのだとすると、レジサポラインとしてそうしたキリのいい数字がうまく機能する可能性が考えられます。例えば相場が上がっている(円安に向かっている)ときに150円のところで下げ(円高)に反転する可能性が高いのではないか、といったイメージです。

そこで本記事では、キリのいい数字がレジサポラインとして機能するのかをバックテストで検証してみることにしました。

この記事でわかること
  • キリのいい数字がレジサポラインとして機能するか
  • トレーリングでトレードした場合の勝率
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キリのいい数字とレジサポライン

以下の図は2023年10月23日のドル円1時間足です。上部の赤い横線が150円ですが、ここが意識されているのか、何回か弾かれている様子がわかるかと思います。

上記の例は少し弾かれている程度で、結局そのあとすぐ150円を上抜けたのですが、場合によっては強く弾かれそのまま下がっていくこともありえるかと思います。

仮に強く弾かれる頻度が高いのであれば、レジサポラインで逆張りエントリーすればいいことになります。逆に少し弾かれる頻度が高いのであれば騙しにあってしまうということですね。

実際以下の図(2023年11月16日のドル円チャート)を見ますと、150円が意識されて弾かれているところもあれば、そのまま素通りしているところもあります。

レジサポラインにおいて、強く弾かれるのか、少し弾かれるのか、どちらの頻度が多いのかは不明です。おそらく定性的な議論にあまり意味はなく、バックテストにおいて何回も取引を行うことで、その真偽を統計的に明らかにすることが重要かと思います。

次章ではこれを確かめるためのバックテストの条件を定義したいと思います。

検証条件定義

定義すべきは、キリのいい数字とは何なにか、エントリーの条件をどのように設定するか、手仕舞いをどのように行うか、これら3つの観点かと思います。

キリのいい数字

今回はドル円を対象にしたいと思います。最も多く参照される通貨ペアだからです。

そしてドル円の場合のキリのいい数字とは1円単位ではないでしょうか。100円、101円、102円などです。

どれぐらいのスパンでみるかにもよりますが、ドル円で1円動けば結構動いているという解釈が多い印象です。少なくともスキャルピングやデイトレードをしていて1日に1円以上動くことはそう多くはない認識です。

エントリーの条件

前項のキリのいい数字にタッチすれば逆張りエントリーです。

今回はキリのいい数字がレジサポラインとして機能するかを確認したいので、常に逆張りで、例えば149円から150円に動けば売りエントリーですし、逆に151円から150円に動けば買いエントリーになります。

手仕舞いの条件

ここが最も議論の余地がある箇所かと思います。

レジサポラインで強く弾かれ、トレンドが大きく変わるかどうかを確認するのはどうかと考えています。

そうするとエントリーと同時に適当な幅でトレーリングを設定し、決済されるまで待つことでその検証が行えるのではと考えられます。

エントリーポイントでチャタリングするとめちゃくちゃになるので、ポジションは同時には1つしか持たないという制約は含めましょう。裁量トレードする場合も想定して違和感ない制約かと思います。

問題はトレール幅ですが、今回は以下の複数幅を用意し、それぞれの場合にバックテストを行うことで結果がどうなるかを比較したいと思います。もしかしたら最適なトレール幅やその傾向がわかるかも知れません。

  • 1×ATR
  • 2×ATR
  • 3×ATR
  • 0.5円

0.5円とは言わずもがなキリのいい数字間の半分の値ですが、トレール幅をこれに設定してもすぐ手仕舞いされてしまうようでは、トレンドは変わっていない(レジサポラインで強く弾かれてはいない)ということの証左になると考えています。

あと検証では、15分足、1時間足、4時間足を対象とします。それぞれ前から、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードを意識したものになります。

「キリのいい数字は時間足に依存しないのでは?」と思われるかも知れませんし、実際そうなのですが、ATRの値が変わるためやはり時間足を変えて検証するのが肝要なのかと思います。

検証結果

それでは実際に結果を見てみたいと思います。バックテストは以下の条件にて行いました。

通貨ペアUSD/JPY
スプレッド0.3pips(0.3銭)
検証期間2013/1/1 ~ 2023/12/31
ポジション0.1Lot(10000通貨)
資産100万円

括弧の左の数字はプロフィットファクタです。そのため1より大きければ期待値はプラスで、1未満であれば期待値はマイナスです。括弧の中の数字は取引回数です。

 1×ATR2×ATR3×ATR0.5円
15分足1.01(997)0.85(874)0.81(790)0.85(626)
1時間足0.73(341)0.63(319)0.67(304)0.88(297)
4時間足0.80(143)0.68(136)0.89(128)1.12(141)

多くの場合プロフィットファクタは1未満(期待値はマイナス)です。レジサポラインにタッチしても、少し弾かれる程度で、トレンドが変わるほどのものではないということでしょうか。

4時間足かつ0.5円こそ高いプロフィットファクタを記録していますが、取引回数が141回とかなり少なく、統計的信頼性に欠けます。

といいますが、全体的に取引回数は1000回もなく、エビデンスとしてはかなり貧弱です。

そもそもレジサポラインを意識するのはスキャルピングやデイトレードの場合が多く、その場合は1分足や5分足を対象にしないと参考にならない可能性がありそうです。

そのため1分足や5分足の場合に結果がどうなるかも追加で検証してみました。

追加検証

以下は1分足と5分足の場合のプロフィットファクタと括弧内の数字は取引回数です。

 1×ATR2×ATR3×ATR0.5円
1分足0.97(10938)0.90(7871)0.92(6614)0.94(1705)
5分足0.93(2359)0.87(2020)0.87(1773)0.87(987)

短い時間足であってもやはりプロフィットファクタは1未満です。レジサポラインになると信じて逆張りすると赤字です。

キリのいい数字で一時的に弾かれることはあっても、トレンドが変わるほどのものではなく、近いうちにその数字を跨ると考えた方がいいかも知れません。

まとめ

本記事では、キリのいい数字がレジサポラインとして機能するのかをバックテストで検証しました。以下に結論となる重要なポイントを示します。

結論
  • ドル円を対象に1円刻みのキリのいい数字をレジサポラインとして逆張りトレードをしても利益はでない
  • レジサポラインで少し弾かれることはあっても、トレンドが変わるほどではない

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。