雇用統計発表後のトレーリングで勝てるのか?バックテストで検証してみました。

相場が大きく動くイベントとして雇用統計の発表が知られています。

なるべくそのチャンスを活かしたく、様々なトレード手法が提案されています。一般的にはトレーリングを用いるべきとの論調で、確かに相場の急変に対しては理にかなっているように思います。

ですが実際にそのようなトレードをした場合どれだけ収益が出るのか、もしかしたら悪手なのではないかなど、懸念はつきないです。

そこで本記事では、雇用統計発表後のトレーリングで勝てるのかをバックテストで検証してみたいと思います。

この記事でわかること
  • 雇用統計発表直後のトレーリング取引での勝率
  • 最適なトレーリング値幅
スポンサーリンク

雇用統計とトレーリング

雇用統計がそもそも何かに関しての詳細は省略します。要は相場が急変するイベントであり、例えば下図は2013/3/8の雇用統計発表時の1分足です。大きな陽線があることがわかると思います。

そしてこの大きな動きに追従するトレーリング注文を行えばローリスクで大きな利益が得られるのではないか、という話です。

雇用統計の発表前に相場が上がるか下がるかを予想して、それに基づいてあらかじめポジションを保有しておくのも一つの手ですが、相場の予測は当てるのが難しいため今回はそうするのではなく、買いと売りどちらにも逆指値注文を入れて約定するのを待機することにします。そしてどちらかの注文が約定したら、もう片方の注文を取り消し、トレーリングを設定します。

以下にイメージを示します。雇用統計発表時刻になった瞬間、下図のように適当な値幅で買いと売りの逆指値注文を入れます。

相場が大きく動き、下図のように上がって買いが発動した場合は、売りの逆指値注文を取り消し、適当な値幅でトレーリングのストップロスをセットします。

後は相場の上昇に任せてトレーリングのストップロスが上がっていき、約定するまでひたすら待ちます。

さて、言葉を濁してきた「逆指値までの値幅」と「トレーリングの値幅」に関してですが、今回は同じ値を採用することとし、また5pips〜20pipsまで1pipsずつ上げていき、どの値幅が最適なのかも確かめてみたいと思います。

バックテストはプログラムを書いて実施しましたが、裁量トレードでも使える方法かと思います。また必ずしも同じトレード手法でなくても、値幅の水準感などは参考になるかと思います。

検証結果

それでは実際に結果を見てみたいと思います。バックテストは以下の条件にて行いました。

通貨ペアUSD/JPY
スプレッド0.3pips(0.3銭)
検証期間2015/7/1 ~ 2023/12/31
ポジション0.1Lot(10000通貨)
資産100万円

以下が値幅別のプロフィットファクタです。

値幅プロフィットファクタ
5 pips9.55
6 pips8.53
7 pips7.56
8 pips8.13
9 pips6.76
10 pips5.37
11 pips5.09
12 pips5.03
13 pips3.46
14 pips2.83
15 pips1.96
16 pips2.56
17 pips2.48
18 pips2.24
19 pips1.82
20 pips1.62

まず、値幅がいくらであれプロフィットファクタは1以上です。つまり期待値はプラスでベースは収益が出るトレード手法なのだとわかります。

また基本的に値幅は小さければ小さいほどプロフィットファクタは大きくなるという結果にもなります。さすがに単調に推移することはなかったですが、概ねその傾向はありそうです。

13pipsあたりからいっきに収益性が悪化することを見ると、USD/JPYの組み合わせだと13pips以上は値幅が大きすぎるということなのだと思います。

以下は最もプロフィットファクタの大きかった値幅5pipsでのバックテストの詳細結果です。かなり安定的に資産が上昇していることがわかります。

ちなみにMT4のストラテジーテスターは1分足が最小単位で、あまりに細かい実際の動きを模擬するのは苦手です。時間足を大きくするか、値幅を大きくするかをすれば実際の動きにかなり近くなると思われますが、そうすると値幅5pipsはやや狭すぎるかも知れません。

念の為、値幅10pipsのバックテストの詳細も記載します。こちらでやるのが無難かも知れません。

まとめ

本記事では、雇用統計発表後のトレーリングで勝てるのかをバックテストで検証しました。以下に結論となる重要なポイントを示します。

結論
  • 適当な値幅で買いと売りの逆指値でスタンバイし、約定した方と反対の注文を取り消して、同じ値幅でトレーリングするトレード手法だと収益期待はプラスになる
  • 値幅は小さいほどよく、5pipsのときにプロフィットファクタは9.55になる

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

雇用統計発表日時

参考のため、検証期間における雇用統計発表日時(日本時間)を以下に記載します。

No
12015732130
2872130
3942130
41022130
51162230
61242230
72016112230
8252230
9342230
10412130
11562130
12632130
13712130
 14 8 5 2130
 15 9 2 2130
 16 10 7 2130
 17 11 4 2130
 18 12 2 2230
 192017 1 6 2230
 20 2 3 2230
 21 3 3 2230
 22 4 7 2130
 23 5 5 2130
 24 6 2 2130
 25 7 7 2130
 26 8 4 2130
 27 9 1 2130
 28 10 6 2130
 29 11 3 2130
 30 12 1 2230
 312018 5 2230
 32 2 2 2230
 33 3 2 2230
 34 4 6 2130
 35 5 4 2130
 36 6 1 2130
 37 7 6 2130
 38 8 3 2130
 39 9 7 2130
 40 10 5 2130
 41 11 2 2130
 42 12 7 2230
 432019 1 4 2230
 44 2 1 2230
 45 3 1 2230
 46 4 5 2130
 47 5 3 2130
 48 6 7 2130
 49 7 5 2130
 50 8 2 2130
 51 9 6 2130
 52 10 4 2130
 53 11 1 2130
 54 12 6 2230
 552020 1 3 2230
 56 2 7 2230
 57 3 6 2230
 58 4 3 2130
 59 5 1 2130
 60 6 5 2130
 61 7 3 2130
 62 8 7 2130
 63 9 4 2130
 64 10 2 2130
 65 11 6 2230
 66 12 4 2230
 672021 1 1 2230
 68 2 5 2230
 69 3 5 2230
 70 4 2 2130
 71 5 7 2130
 72 6 4 2130
 73 7 2 2130
 74 8 6 2130
 75 9 3 2130
 76 10 1 2130
 77 11 5 2130
 78 12 3 2230
 792022 1 7 2230
 80 2 4 2230
 81 3 4 2230
 82 4 1 2130
 83 5 6 2130
 84 6 3 2130
 85 7 1 2130
 86 8 5 2130
 87 9 2 2130
 88 10 7 2130
 89 11 4 2130
 90 12 2 2230
 912023 1 6 2230
 92 2 3 2230
93 3 3 2230
94 4 7 2130
95 5 5 2130
96 6 2 2130
97772130
98842130
99912130
1001062130
1011132130
1021212230