リバーサルで勝てるのか?最適な使い方をバックテストで徹底検証

リバーサルとはプライスアクションの一種で、トレンドが反転するサインとして知られています。

ローソク足の動きを見る限りそのような判断となるのはなんとなく納得ができるのですが、反転しきらず騙しにあう可能性も否定できず、マクロでみて有効な手法なのか真偽は不明なところです。

今回はこういった問題意識を念頭に、リバーサルが相場の転換シグナルとして本当に有効なのかをバックテストにより検証してみたいと思います。

また、自動売買だけでなく、裁量トレードをされている方にとっても参考となるように、エントリーと手仕舞いに少し条件を加え、最適な使い方はどういったものなのかも検証してみたいと思います。

これからリバーサルを使おうか迷われている方は是非参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • リバーサルを使ったトレードの勝率
  • 適切なエントリーおよび手仕舞いの方法
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検証条件

まずリバーサルとはどんな値動きであるのかに関して簡単におさらいし、その後バックテストを行うための定量化を検討してみたいと思います。

リバーサルとは

リバーサルの定義は以下のサイトを参考にさせていただきました。

強気リバーサル/弱気リバーサル|プライスアクション講座|FXブロードネット
FXのプライスアクション、「強気リバーサル/弱気リバーサル」についてご説明いたします。

定義部分のみ抜粋しますと、以下となります。

強気リバーサルは、下落トレンドが反転上昇する可能性を示唆するプライスアクションです。取引時間中に安値を更新したものの、直前のローソク足の実体部分を上回る終値の確定で発生とみなします。

ローソクの実体部分だけでなく、高値も更新する終値となった場合は、強力な強気リバーサルの出現です。

弱気リバーサルは、上昇トレンドが反転下落する可能性を示唆するプライスアクションです。取引時間中に高値を更新したものの、直前のローソク足の実体部分を下回る終値の確定で発生を確認します。

ローソクの実体部分だけでなく、安値も更新する終値となった場合は、強い弱気リバーサルの出現です。弱気リバーサルが発生した後は、上昇基調が反転し価格の下落に備えます。

「強気リバーサル/弱気リバーサル|テクニカル分析とは」『FXブロードネット』

まず強気リバーサルが上昇トレンドへの転換サインです。図で示すと以下かと思います。

赤い陽線の安値は直前の青い陰線の安値を更新してはいますが、同時に高値も更新しています。

つまり、同じローソク足という短時間の間に、低い価格から高い価格までいっきに押し上げた値動きであるため、上昇の勢いが強いだろうという説明かと思います。

逆に弱気リバーサルは以下になります。

陰線が直前の陽線の高値と安値をそれぞれ更新しています。これから下落が始まるということでしょうか。

定性的な説明はもっともらしいとは思いつつ、これを信じてトレードしていいのかは統計的に評価する必要性がありそうです。

リバーサルの定量化

前節でリバーサルの定義に触れました。

おそらく定義分の中で曖昧さのあった箇所は、強気リバーサルであれば「安値の更新」、弱気リバーサルであれば「高値の更新」かと思います。

というのも、安値あるいは高値をどれだけ前のローソク足と比較してそう判断するかという問題があります。

極端なはなし、前のローソク足のみとの比較だと、目視の判断以上にリバーサルが発生しますし、参照し得る過去全てのローソク足との比較だと、おそらくリバーサルが1回も発生しないことになります。

極力裁量トレードでも応用可能な結果を得るために、目視による判断とあまり乖離がない基準を設定したいものです。

そこで今回は「ローソク足過去100本まで参照して、安値・高値を判断する」としたいと思います。

この「ローソク足過去100本」に明確な根拠はありませんが、PCモニターなどでチャートを見るとき、大体100本ぐらいは表示されていることが多いことを理由とします(下図の緑枠で100本です)。つまり裁量トレードにおいて大体これぐらいのローソク足を対象とするだろうという想定であり、裁量トレードにおける判断基準に極力近づけたいという話です。

これでリバーサルの定量化が行えましたので、エントリーは可能かと思います。

次は手仕舞いのパターンをいくつか検討し、バックテストに繋げたいと思います。

手仕舞いパターンごとに結果は異なるはずで、最も結果のよかったパターンがリバーサルの最適な使い方ということになるかと思います。

手仕舞いパターン

手仕舞い①:ストップリミット幅共に、現在価格からヒゲの先端まで

下ヒゲが大きければ現在価格と下ヒゲの先端までを、上ヒゲが大きければ現在価格と上ヒゲの先端までをストップリミット幅とします。

これは「ヒゲまで戻ればやっぱり相場の勢いは残っていたよね」という判断が可能だからと考えたためです。最も基本的な解釈を反映した設定かと思います。

手仕舞い②:3ATRでトレーリング

ATRの3倍をトレール幅としてトレーリングするパターンです。

仮に相場転換のシグナルなのであれば、次の転換が起こるまでに順張りでずっとトレンドフォローすべきであり、このパターンはそのやり方を踏襲したものとなります。

なぜATRをそのまま使うのではなく3倍するのかというと、それぐらいしないと損切貧乏になってしまう可能性が高いからです。

それでは実際に検証結果を見てみたいと思います。

検証結果

バックテストは以下の条件にて行いました。また、今回検証では時間足として15分足、1時間足、4時間足を対象とします。それぞれ前から、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードを意識したものになります。

通貨ペアUSD/JPY
スプレッド0.3pips(0.3銭)
検証期間2013/1/1 ~ 2023/12/31
ポジション0.1Lot(10000通貨)
資産100万円
ATR期間14

表の中の数字はプロフィットファクタを示しています。そのため1より大きければ期待値はプラスで、1未満であれば期待値はマイナスです。

ローソク足100本参照

 手仕舞い①手仕舞い②
15分足0.94(2033)0.96(2332)
1時間足0.93(818)0.96(656)
4時間足0.59(304)1.02(214)

ほぼどの時間足、手仕舞いのパターンであってもプロフィットファクタは1以下のため赤字です。唯一、4時間足かつ手仕舞い②のプロフィットファクタが1を超えていますが、取引回数が少なすぎるため統計的信頼性に欠けると思われます。

といいますか、全体的に取引回数が少ないです。そもそもリバーサルは発生回数が少ないものだとわかります。

もしかしたらローソク足100本を参照することが条件として厳しかった可能性があります。そのため、ローソク足を50本と半分にして同様の検証を実施しました。その結果が以下となります。

ローソク足50本参照

 手仕舞い①手仕舞い②
15分足0.93(3610)0.97(2960)
1時間足0.91(1183)0.99(897)
4時間足0.65(413)1.21(281)

あんまり変わらないですね。ローソク足の数は関係なかったかも知れないです。

大多数の組み合わせでプロフィットファクタは1以下です。取引回数も少なく、リバーサルを活用したトレードで統計的に信頼できる結果を得るのは難しいかと思います。

まとめ

本記事ではリバーサル勝てるのかをバックテストで検証しました。得られた結論は以下となります。

結論
  • リバーサルを狙った逆張りでプロフィットファクタは概ね1以下(期待収益がマイナスであり、相場転換のシグナルとみなすのは難しい)
  • そもそもリバーサルは発生頻度が少なく、エントリー機会がほとんどない

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。