「株と違ってFXはギャンブルだからやめておけ」。
このような意見を聞いたことがあります。FXは株式投資よりもどこか冷めた目で見られる傾向があるように思います。
当サイトは極力客観性を担保することを心がけております。「FXはギャンブルでない」と証明したいわけではなく、ちゃんと調査した上でどういう考え方がありそうなのか、議論を詰めていく必要があると考えます。
そこで今回は、「FXはギャンブルなのか?」に関して調査を行い、その結果をまとめてみようと思います。
- FXの文脈でのギャンブルの定義
- 取引所取引と店頭取引の違い
- FX事業者がどうやって収益を上げていそうか
そもそもギャンブルとは?
まずWikipediaの記載は以下の通りとなります。
賭博とは、金銭や品物を賭けて勝負を争う遊戯である。
「賭博」『Wikipedia』(最終更新 2024年8月24日 5:01)
Wikipediaというより広辞苑の定義を記載しているようですが、少なくともこの記載だと遊びであることが要素として必要な印象です。
また、偶然性があるかどうかの記載がないため、例えば将棋や囲碁で金銭を賭ける場合もギャンブルに該当するかも知れません。
これとは別に、法的な定義を見てみましょう。以下に記載がありました。
定義のみ抜粋しますと。
賭博とは、偶然の勝負に関し財物の得喪を争うことをいうと解されている。
「質問主意書」『参議院』
こちらは偶然性が要素として必要で、遊びかどうかは不問なのかと読めます。
さて、ギャンブルの定義として果たしてこれでいいのか、あるいは「FXはギャンブルなのか?」という命題の回答はどこに着地すればいいのか、という観点で少し考えてみます。
おそらく日常生活においてギャンブルといった場合、パチンコ・競馬・カジノあたりをイメージするのではないでしょうか。
そしてこれらに共通し、なおかつ法的定義に含まれないニュアンスとして「胴元が儲かるかどうか」という観点があるかと思います。
ギャンブルに対するマイナスイメージの源泉は「胴元が儲かる仕組みが出来上がっていて、プレイヤーはその時々で勝つことはあっても、長期的に見ると負けることになる」という考えからくるものと思います。
そしてFXがこれに該当するかどうかがポイントになるのではないでしょうか。
私としては、偶然性があるかどうかだけでは要件として不十分な気がします。それだと株式投資も(なんだったら年金の運用も含めて)ギャンブルとなりますし、あらゆる事業も全て予測できない不確実性を含んだものになる以上、ギャンブルという扱いになる気がしています。
それではFXというものがFX事業者にとってどういう収益構造のものなのでしょうか。また各プレイヤーにとってはどうなのか、そのあたりを調査してみました。
どうやらFXは店頭取引というところがポイントになりそうです。
株式投資は取引所取引、FXは店頭取引
株式投資は取引所取引ですが、FXは店頭取引というところにまず大きな違いがあるようです。
取引所取引では取引所は買い手と売り手を繋ぐのみで、直接売買を行いません。取引手数料が収益となり、市場価格の上がり下がりで収益が変わることはありません。
一方、店頭取引では、FX事業者との間で売買契約を合意します。もしプレイヤーが買い手の場合、FX事業者が売り手となるので、その商品が値上がりすればプレイヤーは得をしますが、FX事業者は損をするという仕組みになります。
そして以下のサイトを参考にしますと、どうやら多くの顧客が利益を出し始めると、カバー取引(顧客から受けた注文と同じもしくはそれに近い注文を銀行等に発注する取引)をすることでリスクヘッジするとのことです。
店頭取引だと、顧客が儲かればFX事業者は損をすることになります。ですのでこれだけだと「胴元が儲かる」ことも「プレイヤーが損する」ことも約束されていません。つまり店頭取引だからギャンブルだとは言えないわけです(むしろ手数料収入で成り立っている取引所取引の方が胴元の収益構造がはっきり見えます)。
一方、FX事業者は何十年にも渡りその事業を存続させています。なんらかの理由があって収益を上げ続けていることも事実だろうと思います。
ではどうやってFX事業者は利益を出しているのでしょうか。
これ以上はあまり情報が出てこなかったため、当サイトの独断と偏見で考察を進めてみました。
どうやってFX事業者は収益を上げているか?
以下に挙げた3つのパターンがあるのだろうと考えます。もちろんどれか一つという訳ではなく、その組み合わせもありえます。
パターン1:FX事業者が相場を予測している
FX事業者が相場を予測し、それに基づいてカバー取引を実施しているパターンです。
例えば今後相場は上がると予想している時に、買いのポジションが入った場合はそれはプレイヤーの利益(FX事業者の損失)となる可能性が高いためカバー取引でリスクをヘッジし、逆であれば放置する(プレイヤーは損をし、FX事業者は得をする)というやり方です。
もしこのパターンの場合、「FXはギャンブルでない」が結論となります。なぜならFX事業者に相場を読む能力があり、不確実性の中でも期待値をプラスにすることができるということは、長い目で見ればギャンブル性を排除した取引が可能であり、それはプレイヤーにとっても不可能ではないから、と考えられるからです。
というか相場が予測できている時点でギャンブルではなくなります。
パターン2:FX事業者が勝つプレイヤーと負けるプレイヤーを選別している
勝つプレイヤーの取引はカバー取引でリスクヘッジし、負けるプレイヤーの取引は放置する、というやり方です。
パターン1との違いは、相場を読むことが必ずしも要求されない点でしょうか。プレイヤー別の取引履歴に基づいて、今後勝つのか負けるのかを分析/予測することになります。
このパターンの場合、「FXはギャンブルではない」が結論かと思います。膨大な数のプレイヤーの膨大な取引履歴が参照可能なFX事業者は個人よりも有利ではありますが、今時SNSなどでプレイヤー同士が情報交換することは可能であり、このやり方に勝ち筋が見出せるのであればそれを模倣することは可能だからと考えられるからです。
パターン3:スプレッド、スリッページ、ストップ狩りで収益を上げている
プレイヤーもポジションも膨大な数あり、これらをマクロで捉えるとほとんどの取引はその収支が相殺され、スプレッドの分だけFX事業者に利益が残るというやり方。
あるいは、プレイヤーの細かい動きはプラスになったりマイナスになったりするものの、相場急変時のスリッページやストップ狩りで補って余りある利益が残るため、結果的に細かい収支は帳消しにできるというやり方です。
特に後者に関しては、店頭取引なので行われる可能性は十分ありますし、その報告もあるといったところでしょうか。
さて、当初の命題は「FXはギャンブルなのか?」ということでしたが、このパターンだと「ギャンブルと結論づけることはできないが、プレイヤーにとって分が悪いのでそもそもFXは辞めておけ」という話しになるのではないかと思います。
このパターンだと胴元が儲かる構造なのは担保されつつも、個々のプレイヤーの勝ち負けは不問であるため、上述したギャンブルの定義には当てはまらない可能性があります。相場を読む力が圧倒的で、勝ち続けるプレイヤーがいることを否定していないからです。
ただ、もしこれがFX事業者の収益源であるのであれば、株でもやった方が有意義ということかも知れません。取引所取引には不可解なスリッページもストップ狩りもないので。
以下の議論は参考程度ですが、FXはゼロサムゲームに近い状態なのではという話しです。その中でのスリッページやストップ狩りはかなりの痛手と思われます。
まとめ
本記事では、「FXはギャンブルなのか?」を調査しました。以下に結論となる重要なポイントを示します。
- ギャンブルであると結論づけることは難しいが、株より分が悪いので、株やった方がいい
株で億り人になった人はよく聞きますが、FXではあまり聞かないのはなぜでしょう。私の周りだけなのか、単純にプレイヤーの数が理由なのか。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。