マーチンゲール法はどこで切り上げるべきか?バックテストで検証してみました

マーチンゲール法というトレード手法をご存じでしょうか。

FXよりもカジノでよく使われる手法で、巷では必勝法とまで言われることもあります。

勿論、実際は必勝法などではなく、リスクを多分に含んだものなのですが、それにも関わらず今でも多くの人を引き付ける手法としてそのポジションを維持し続けています。結局は使い道次第ということなのでしょうか。

ネットで「マーチンゲール法」と調べると、情報は腐るほど出て来ます。しかしどのサイトも定性的な話に終始し、実際にやってみてどうだっかのかという情報はそう多くありません。

そこで今回は、マーチンゲール法を実際にFXで使った場合に勝てるのかをバックテストで検証し、その結果を示してみたいと思います。

マーチンゲール法をこれから使おうか迷われている方は是非参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • マーチンゲール法で勝てるのか
  • マーチンゲール法を切り上げるべきタイミング
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マーチンゲール法とは何か?

他のサイトで散々紹介されていることですが、一応おさらいしておきます。

マーチンゲール法とは、負けたときに掛金を倍々にしていき、勝った時に最初の掛金に戻すトレード手法です。

例えばコイントスで表に100円ベッドしたとします。仮に裏が出てマイナス100円となった場合、次は倍の200円で表か裏どちらかで再度ベッドします。もし続けて負けた場合、マイナス200円となり(トータルではマイナス300円)、次は更に倍の400円でベッドします。次の3回目のコイントスで勝つことが出来れば、400円の儲けを得ることになり、これまでの損失と合算すると、100円の儲けとなります。次の勝負は最初の100円ベッドから同じことを繰り返します。

上記は3回目で勝ちが来た時のパターンですが、マーチンゲール法では何回連続で負けようと、勝ちが来たタイミングで必ずトータルの収益はプラスに転じることが保証されています(時間のある方は計算してみてください)。

これだけ聞くと必勝法のように思えますが、実際は破産するまで負けが連続することも可能性としてはゼロではなく、そうなった場合トレードを続けることが出来なくなってしまいます。

要は理論的には資金が無限大でないと必勝法とはならないということです。

このように、マーチンゲール法は資金が無限大でないと必勝法にはならず、むしろ破産のリスクが高い手法ではあるのですが、一方で途中でうまいことトレードを切り上げたら、安定的に利益が得ることができる手法でもあります。

以下は後述する「検証結果」における1回目のバックテストの詳細です。資産曲線が直線的に右肩上がりになっている様子ががわかるかと思います。

これはかなりうまくいった例ですが、それでも多くの場合いきなり連敗する可能性は低いと考えられ、ある程度資産を増やしてからいっきに減らすことになるため、もし途中で切り上げればいい感じに勝ち逃げ出来そうな気もします。

そうすると問題は「切り上げ時」です。簡単に計算出来ればいいのですが、マーチンゲール法はどこで切り上げるのが望ましいのか、その答えが自明ではありません。本記事では実際にバックテストを行い、これを確かめてみたいと思います。

検証条件

バックテストは以下の条件にて行いました。

  • 通貨ペアはUSD/JPY
  • 資産は100万円スタート
  • コイントスをし、表なら買いエントリー、裏なら売りエントリー
  • 初期Lotは0.01Lot(1000通貨)
  • エントリーと同時にストップリミット幅を設定。幅は0.05pips(0.5銭)のため、初期Lotだと±500円の幅
  • 証拠金不足になるまでマーチンゲール法を続ける
  • 証拠金不足になるまでの一連のトレードを100回実施する

つまり100回のパターンにおいて、何回が勝ちで終わったのか、プロフィットファクタの平均はどんなだったかなどを検証しようという訳です。

検証結果

以下が検証結果です。各列の意味は後述します。

No総取引回数プロフィットファクタ純益ドローダウン開始最大利益
132211.165315003213787000
27811.0964000774191500
33890.93-3500038292500
4240.07-123000174000
57371.1063500730191000
6490.24-118000429000
712801.161905001273318000
82090.68-7750020250000
95181.001000511128500
103820.92-4050037587000
111620.67-9200015535500
122540.79-6050024767000
132900.81-6250028164500
1410001.12116000993243500
15250.16-124500183000
166081.0393760601149000
178331.1385500826213000
1812811.151820001274309500
192400.74-6500023362500
208771.1391500870219000
2115371.091415001529397000
221070.52-108000100191500
232220.73-7200021555500
2426651.174275002657683000
254390.99-5000432122500
262330.74-7250022655000
274670.97-19000460108500
283310.87-4600032481500
292010.66-7900019448500
30550.31-1170004810500
31330.18-121000266500
322790.81-5750027270000
33160.03-12500092500
341010.52-1060009421500
351510.55-8550014442000
361120.55-10200010525500
372240.76-6900021758500
385531.0211500546139000
397541.1061500747189000
407231.1058500716186000
41600.24-1145005313000
424870.98-8500480119000
438631.1081500856209000
44430.17-119500368000
452820.83-5950027568000
463750.91-3200036895500
473760.91-4200036985500
4810841.141375001077265000
496331.0318000626145500
503840.91-3550037792000
515010.99-4500494123000
52570.27-1165005011000
537631.0862500756190000
543150.87-4950030878000
55320.13-122500255000
5616191.101560001611411500
571110.57-10000010227000
588201.0975000813202500
592250.77-7450021853000
60760.35-1115006916000
613350.87-3850032889000
621110.61-10500010422500
632160.72-7450020953000
641490.61-9500014232500
653200.87-4550031382000
666961.0644500689172000
674930.98-9000486118500
687051.0848500698176000
693000.84-5550029372000
703180.88-5050031177000
71460.18-1175003910000
723100.85-4800030379500
7312521.201920001245319500
741120.44-10300010524500
755181.00-1500511126000
769211.1295000914222500
7780.00-12750010
783830.92-3500037692500
792010.71-7800019449500
807401.0646500733174000
812840.82-5550027772000
825841.0624000577151500
831060.58-1030009924500
8413341.111444841326326000
851740.68-8200016745500
864770.97-13000470114500
87270.08-121000206500
881890.66-8300018244500
89760.30-1075006920000
906161.0426500609154000
918971.1293000890220500
922540.79-7000024757500
932320.72-6750022560000
948261.1185000819212500
95790.35-1075007220000
96640.24-1130005714500
974390.97-17000432110500
98630.40-1140005613500
99340.11-120000277500
100240.08-122500175000
平均463.820.7638-18042.56456.73116095

各列の説明は以下のイメージの通りです。

まず最終行の平均を見ますと、プロフィットファクタは0.76と低く、純益は-18043円のため、証拠金不足となるまで取引を辞めない戦略だと負け越すことがわかるかと思います。そのためやはり途中で取引を切り上げる必要がありそうです。

ではどこで切ればいいのか?

粘れば粘るほどリターンは大きくなりますが、その分負ける確率は高くなります。その逆に、早く切り上げればリスクは抑えられますが、リターンは小さくなります。

勿論正解はありません。そこで上記の検証結果に対して、取引回数別にドローダウンが発生しなかったパターン数(=勝率)を計算してみました。それが以下になります。

取引回数勝ったパターン数負けたパターン数勝率[%]
1099199
3094694
50881288
100802080
300524852
500336733
1000109010
30001991

例えば取引回数50回を例にすると、取引回数50回を経てもまだドローダウンが起きていないパターン数は88パターン、ドローダウンが起きたパターン数は12パターン、よって50回取引するまでマーチンゲール法を切り上げなかった場合の勝率は88%になる、という見方になります。

そうしますと、勝率50%を切るのは取引回数が約300回を超えたぐらいということになります。300回取引を終えるまでマーチンゲール法を続ける場合、それまでに50%ぐらいの確率でドローダウンが起こることを覚悟する必要があるということを示しています。

また、安牌でいくなら取引回数100回ほどで(ドローダウン発生確率20%)、リスクを取ってもいいなら取引回数500回ほどで(ドローダウン発生確率67%)切り上げるのがいいということかと思います。

※リスクリワードを一対一にした場合の結果であることにご留意ください。

皆様のリスク許容度を鑑みて、望ましい取引回数で切り上げていただければと思います。

まとめ

本記事では、マーチンゲール法で勝てるのかをバックテストで検証しました。以下に結論となる重要なポイントを示します。

結論
  • 取引回数300回までマーチンゲール法を続ける場合、50%ほどの確率でそれまでにドローダウンが起こる
  • 取引回数100回で切り上げる場合、ドローダウンが起こる確率は20%に抑えられる
  • 取引回数500回で切り上げる場合、ドローダウンが起こる確率は67%まで上がることに注意する

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。