概要
今回は非農業部門雇用者数と為替レートをグラフプロットし、非農業部門雇用者数が為替に与える影響を探ってみたいと思います。
雇用統計等を使ってファンダメンタルズ分析をしている方は是非ご参考にしていただければと思います。
非農業部門雇用者数に関して
米雇用統計が為替レートに大きく影響を与えることは周知の事実かと思います。
この雇用統計は失業率などいくつかの統計値から成りますが、その内の一つに非農業部門雇用者数があり、経済に最も影響を及ぼす項目の一つとして知られています。
一般的に非農業部門雇用者数が増加していれば、それだけ雇用が生まれ、それに伴い消費も増えるため、経済が上向きとなりドル高を引き起こすと言われています。
ですので非農業部門雇用者数の増減に着目し、それに応じた為替の取引を行えば、外貨預金などの運用成績を安定化させることが可能と思われます。
勿論、上記の理屈が正しければの話ですが。
今回、非農業部門雇用者数とUSD/JPYのレートをプロットし、その関係を探ってみたいと思います。
もし上記の理屈が正であれば、非農業部門雇用者数とUSD/JPYのレートは正の相関を示すことになるはずです。
以下に詳細な検証条件を示します。
検証条件
- 月別の非農業部門雇用者数[千人]と、月別の通貨ペアUSD/JPYの四本値(始値、高値、安値、終値)の平均値[¥]をプロット
- スプレッドは考慮しない(Bidチャートのみを対象とする)
- 対象期間は2013/1~2020/12(8年間)
尚、非農業部門雇用者数は以下のリンクのデータを取得した。

結果
下図が検証結果です。
青が非農業部門雇用者数で目盛りは第一軸、単位は[千人]です。
オレンジがレートで目盛りは第二軸、単位は[¥]です。
どう見たって関係ないだろうという感じでしょうか。
2020年の3月頃から非農業部門雇用者数が急減しているのはコロナの影響とみて間違いないと思います。
勿論これが生のデータではありますが、グラフとして見にくいというか、もしかしたらこの時期だけ例外だった可能性も想定し、2020年2月までを横軸にしてグラフ化してみたいと思います。
下図がそのグラフです。
グラフの説明は上図と同じです。
やはりあまり目立った関係性は見えないという感じでしょうか。
コロナ前までは非農業部門雇用者数は(少なくとも2013年からは)右肩上がりで増え、それ以外の要因でレートが動いていたように私には見えます。
せめて2020年2月頃にもう少しレートが高ければ、レートが非農業部門雇用者数に回帰すると見てとれたと思いますが、それもないため遠目ではレートが上がっていると見るのも厳しいと思います。
テストデータ用に2021年のデータは敢えてプロットしてませんが、ここ最近は非農業部門雇用者数も増加し始め、それが原因かわかりませんがドル高円安が続いています。
今後の動向次第では相関が認められる可能性があるかも知れませんし、もしかしたら年単位で見ればまた何かわかるかも知れませんが、今回はここまでにしたいと思います。