ピンバーで勝てるのか?最適な使い方をバックテストで徹底検証

ピンバーの出現とともに逆張りしたけれども騙しに会った、そういった経験はないでしょうか。

相場転換のシグナルとして知られているピンバーですが、実は相場転換することが保証されているわけではなく、またその可能性が高いかどうかもわかっていません。

今回はこういった問題意識を念頭に、ピンバーが相場の転換シグナルとして本当に有効なのかをバックテストにより検証してみたいと思います。

また、自動売買だけでなく、裁量トレードをされている方にとっても参考となるように、エントリーと手仕舞いにそれぞれ条件を加え、最適な使い方はどういったものなのかも検証してみたいと思います。

これからピンバーを使おうか迷われている方は是非参考にしてみてください。

この記事でわかること
  • ピンバーを使ったトレードの勝率
  • 適切なエントリーおよび手仕舞いの方法
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検証条件

まずピンバーに関しての基本事項をおさらいし、その後検証で用いるエントリーと手仕舞いの条件を説明したいと思います。

基本のおさらいと定量化

ピンバーとは、実体が短く、ヒゲが上下どちらかに大きく伸びているローソク足を指します。以下がそのイメージです。

ヒゲが上に大きく伸びているということは、一度上がった価格が強く押し戻されたことを表し、これから下落へ向かうシグナルとして読まれるようです。ヒゲが下に大きく伸びている場合はその逆です。

押し戻されてそのままの勢いで相場が転換すればいいのですが、その前に一度価格が上がったことは事実で、その勢いがまだ残っていれば結局転換せず上昇を続けることも十分考えられます。

このようにどっちとも取れるため、これを使って勝てるかどうかは、結局のところバックテストで確かめるしかありません。

バックテストでこれを確かめるには、実体が「短い」だとかヒゲが「大きく」だとかを、プログラムが読めるように定量化しなければなりません。

そこで今回の検証では、以下のサイトの考え方を頂戴させていただきたいと思います。

FXでかなり使えるピンバー手法!強力なローソク足反転シグナル
反転シグナルで最も強力なローソク足が『ピンバー』です。なぜピンバーが強力なシグナルになるのか?ピンバーをFXでどのように活かせばよいのか?エントリーから、損切りの方法。ピンバーを使った手法まですべて分かりやすく解説しています。

抜粋しますと。

【ヒゲの長さ】実体の約3倍以上のヒゲであること
【実体の位置】実体の位置が、ヒゲの先端から20〜30%以内にあること(先端に近ければ近い方がよい)

「FXでかなり使えるピンバー手法!強力なローソク足反転サインの定義とは|ローソク足&プライスアクション」『PriceAction Trader
エイクのFXブログ』

図にすると以下のような感じだと思います。今回はヒゲの先端からの範囲として30%を設定したいと思います。

勿論、下ヒゲが大きければ買いエントリー、上ヒゲが大きければ売りエントリーです。

これでピンバーの定量化が行えましたので、次はエントリーと手仕舞いのパターンをいくつか用意し、検証に繋げたいと思います。つまり、各エントリーパターンと手仕舞いパターンの組み合わせに関してバックテストを実施し、どの組み合わせが最も結果が良かったのかを調べてみようという訳です。

エントリーパターン

まずはエントリーパターンに関してです。

エントリー①:ピンバー出現と同時にエントリー

このパターンでは、前章の定義を満たすピンバーが出現すればとにかくエントリーします。

当たり前の話に聞こえますが、あまりにも小さいローソク足でピンバーの定義を満たしてしまった場合、果たしてそれは相場転換のシグナルとみなしていいのかという疑問が出て来ます。

それはパターン②に譲ることとし、本パターンでは特に大きさにこだわらないことにするという意図があります。

エントリー②:過去5本のローソク足より大きいピンバーが出現すればエントリー

そこそこ大きいピンバーのみエントリーの対象とします。大きさは勿論、高値-安値で計算します。

5本であることにあまり大きな意味はありません。次のパターンに10本の場合も用意しますが、おそらく6本の結果は5本の結果と類似し、9本の結果は10本の結果と類似するのだと思われます。

エントリー③:過去10本のローソク足より大きいピンバーが出現すればエントリー

エントリー②の参照ローソク足を5本から10本に変えたこと以外は同様です。

エントリーは以上3つを用意します。次は手仕舞いに関してです。

手仕舞いパターン

手仕舞い①:ストップリミット幅共に、現在価格からヒゲの先端まで

下ヒゲが大きければ現在価格と下ヒゲの先端までを、上ヒゲが大きければ現在価格と上ヒゲの先端までをストップリミット幅とします。

これは「ヒゲまで戻ればやっぱり相場の勢いは残っていたよね」という判断が可能だからと考えたためです。最も基本的な解釈を反映した設定かと思います。

手仕舞い②:3ATRでトレーリング

ATRの3倍をトレール幅としてトレーリングするパターンです。

仮に相場転換のシグナルなのであれば、次の転換が起こるまでに順張りでずっとトレンドフォローすべきであり、このパターンはそのやり方を踏襲したものとなります。

なぜATRをそのまま使うのではなく3倍するのかというと、それぐらいしないと損切貧乏になってしまう可能性が高いからです。

エントリーと手仕舞いのパターンの網羅は以上となります。それでは実際に検証結果を見てみたいと思います。

検証結果

バックテストは以下の条件にて行いました。また、今回検証では時間足として15分足、1時間足、4時間足を対象とします。それぞれ前から、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードを意識したものになります。

通貨ペアUSD/JPY
スプレッド0.3pips(0.3銭)
検証期間2013/1/1 ~ 2022/12/31
ポジション0.1Lot(10000通貨)
資産100万円
ATR期間14

15分足

表の中の数字はプロフィットファクタを示しています。そのため1より大きければ期待値はプラスで、1未満であれば期待値はマイナスです。また括弧内の数字は取引回数です。

 手仕舞い①手仕舞い②
エントリー①0.91(23973)1.13(6723)
エントリー②0.96(2281)1.15(1959)
エントリー③1.00(1213)1.11(1126)

エントリーの仕方に因らず、手仕舞いは①より②の方が結果は良くなります。つまりATRの3倍の幅でトレーリングするのがおススメされるということかと思います。

手仕舞い②のプロフィットファクタはいずれも1.1を超えています。かなり魅力的な結果かと思います。

以下はエントリー②、手仕舞い②の場合のバックテストの詳細です。そんなに綺麗な右肩上がりでもありませんが、大きく下がることもなく、試してみてもいい手法なのかと思います。

1時間足

表の見方は15分足同様です。文字色が灰色の箇所がありますが、これは取引回数が1000回に満たない場合です。個人的には1000回に満たない結果は信用しない方がいいと考えてます。

 手仕舞い①手仕舞い②
エントリー①0.96(5882)1.01(1882)
エントリー②0.99(688)1.23(579)
エントリー③0.99(305)0.96(289)

まともに結果が出たのはエントリー①の場合だけでしょうか。それ以外はエントリーの頻度が少なく、統計的に信頼可能な結果とは言い難いと思います。

4時間足

表の見方は15分足同様です。

 手仕舞い①手仕舞い②
エントリー①1.02(1468)1.15(512)
エントリー②1.15(134)1.59(113)
エントリー③1.35(59)1.60(54)

こちらも1時間足同様、あまりエントリーが行われ統計的信頼できる結果にはならなかったようです。エントリー①、手仕舞い①の組み合わせも、そこまでプロフィットファクタが高くないため、特にこれに固執する必要はないと思われます。

まとめ

本記事では、ピンバーで勝てるのかをバックテストで検証しました。得られた結論は以下となります。

結論
  • 15分足などのスキャルピングでは、エントリーの仕方に因らずATRの3倍の幅でトレーリングするのが良く、プロフィットファクタは1.1を超える
  • 1時間足と4時間足では、エントリーがあまり起きず、統計的に信頼できる結果は得られなかった

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。