概要
とあるトレード手法を普段とは違う時間足で使ってみたいと思った際、ストップリミット幅をどのように変更すべきかで困ったことはないでしょうか?
本投稿では、この問いに一種の答えを与えたいと思います。
時間足とストップリミット幅
例えば以下のようなトレード手法があるとします。
- MACDのゴールデンクロスで買いエントリー
- ストップ(逆指値)はエントリー価格-7.5pips(7.5銭)
- リミット(指値)はエントリー価格+15pips(15銭)
- 時間足は15分足
下図はエントリーの一例です。
黄色の縦線の時刻でMACDがゴールデンクロスしています。
白の横線がエントリー価格、赤の横線二つがそれぞれストップとリミットを意味します。
エントリー価格からストップリミットまでの幅はいい感じじゃないでしょうか。
少なくとも今回の場合、ストップは前回安値の少し下になっていて、リミットは次の高値より少し下になっています。
もちろん上図は一例なので毎回うまくいくとは限らないのですが、ストップリミットまでの幅の大きさとしては妥当な水準を設定していると思われます。
さて、このトレード手法を仮に4時間足に使えばどうなるか。
もし時間足の変更でパフォーマンスが上がるなら使いたいところです。
上記のトレード手法を単純に4時間足に適用した場合のエントリーの一例が下図です。
時間足が長くなった分、当然ローソク足の長さも変わり、ストップリミットまでの幅も(ローソク足の大きさと比較して)相対的に小さくなります。
どうでしょうか。
少なくともこのようなストップの設定では、前回安値までチャートが下がった場合は損切を食らいます(前回安値によるサポートを考えると、望ましくない設定値です)。
またリミットに関しては、結果論ではありますが、次回デッドクロスまでホールドしておけばより利益を上げれたにも関わらず、それよりも遥かに早く手仕舞いしてしまっています。
気持ちもう少しストップリミットの幅を広げたいところではないでしょうか。
ですが幅を一体いくらに変えればいいのか、一般的にはなんともわかりません。
ですので今回は、時間足を変えた場合にストップリミットの幅をいくらに変えるべきなのかを検討してみたいと思います。
といっても大した話ではありません。
時間足を長くした場合にストップリミットまでの幅が狭く感じるのは、ローソク足が相対的に大きくなったからで、そうするとこのローソク足の大きさによって補正してやればいいのではないか、と考えられます。
ローソク足の大きさとはすなわち長さです。
時間足別にローソク足の長さの平均(絶対値平均)を計算し、その平均値の倍率に応じてストップリミットを変えてやります。
例えば、15分足におけるローソク足の長さの平均が10pips(10銭)で、 4時間足におけるローソク足の長さの平均が50pips(50銭)だった場合、50/10=5であるため、15分足におけるストップリミット幅をそれぞれ5倍したものが4時間足におけるストップリミット幅となります(逆の場合は5で割ります)。
細かい検証条件は以下となります。
検証条件
- 各ローソク足の長さは、陽線の場合は終値-始値とし、陰線の場合は始値-終値として計算する
- 通貨ペアはUSD/JPY
- スプレッドは考慮しない(Bidチャートのみを対象とする)
- 対象となる期間は2013/1/1~2020/12/31(8年間)
- 15分足、1時間足、4時間足、日足でそれぞれ計算
結果
下表が検証結果です。
下表における倍率は15分足の絶対値平均を1とした場合の各時間足の絶対値平均です。
項目 | 15分足 | 1時間足 | 4時間足 | 日足 |
絶対値平均[¥] | 0.0384 | 0.0775 | 0.158 | 0.402 |
倍率 | 1 | 2.02 | 4.11 | 10.47 |
仮に普段15分足でトレードしていて、4時間足に変更する場合は、ストップリミット幅を共に4.11倍するのはどうか、という提案を意味します。
ちなみに前述した例の場合、ストップリミットは以下となります。
損切ラインが依然イマイチですが、随分マシな水準になったのではないでしょうか。
以上、ご参考までに。